契約書 Q&A 
 
 Q1.契約書を交わさないと永久にクーリング・オフに応じなければいけないのでしょうか?
 
 Q2.お客さんに契約書を渡さないと逮捕されると聞いたのですが・・・
 
 Q3.取引先の事業者からクーリング・オフされた場合も応じなければならないのでしょうか?
 
 Q4.責任を免除する特約をすれば、会社は責任を負わなくていいのでしょうか?
 
 
 
 
  Q1.契約書を交わさないと永久にクーリング・オフに応じなければいけないのですか?
 
  A.そのとおりです。
 
 特定商取引法によると、訪問販売では、契約書面を受け取った日から8日以内であれば(受け取った日も含む)、たとえ契約した後であっても契約を解除することができます(これをクーリング・オフといいます)。
 
 なので、契約書を渡していなければ、永久にクーリング・オフの行使期間の起算点が開始しませんので、いつまでもクーリング・オフを行使することができます(お客様の立場に立つと有利になりますが、会社側の立場からすると非常に不利益となります)。
 
 したがって、会社側としては、契約を結ぶ場合には契約書をキチンと交わして交付する必要があるわけです。
 
 
  Q2.お客さんに契約書を渡さないと逮捕されると聞いたのですが・・・
 
 
  A.その可能性はあります。
 
 特定商取引法では、2種類の制裁が設けられています。
 
 1.行政規制
 
 違法行為を行った事業者に対して、業務停止命令行政処分を科される場合があります。
 
 2.刑事罰
 
 違法行為を行った事業者に対しては、刑事事件として、罰金懲役刑が科されるおそれがあります。
 
 *契約書に限って見てみると、訪問販売を行った場合には、下記の内容を記載した契約書又は申込書を交付しなければなりません。下記の内容を盛り込んでいない場合にも、上記の制裁を受けるおそれがあります。
 
① 商品若しくは権利又は役務の種類
 
② 商品若しくは権利の販売価格又は役務の対価
 
③ 商品若しくは権利の代金又は役務の対価の支払時期及び方法
 
④ 商品の引渡時期若しくは権利の移転時期又は役務の提供時期
 
⑤ 第9条第1項の規定(クーリング・オフ)による売買契約若しくは役務提供契約の申込の撤回又は売買契約若しくは役務提供契約の解除に関する事項
 
⑥ 前各号に掲げるもののほか、主務省令で定める事項
 
*⑤のクーリング・オフに関する記載は、赤枠の中に赤字で8ポイントの大きさ以上で記載することが要求されていますので、ご注意ください。
 
 
 Q3.取引先の業者からクーリング・オフされた場合も応じなければならないのですか?

 A.原則として、応じる必要はありません。
 
  クーリング・オフの制度が規定されている特定商取引法や消費者契約法は、そもそも一般消費者保護のために設けられた法律なので、営業や事業としての会社間の取引は対象外だからです。
 
 もっとも、ウソをついたり、だましたり、脅した場合などは、民法の詐欺、強迫にあたり、取り消される場合がありますので、ご注意ください。
 
 
  Q4.責任を免除する特約をすれば、責任を負わなくていいのでしょうか?

  
 A.債務不履行、不法行為、瑕疵担保責任の制度によって、それぞれ異なります。
 
  債務不履行・・・全部を免除する特約は無効。一部を免除する特約は有効(ただし、事業者に故意・重過失がある場合には認められない)。
 
  不法行為・・・全部を免除する特約は無効。一部を免除する特約は有効(ただし、事業者に故意・重過失がある場合には認められない)。
 
  瑕疵担保責任・・・事業者の全責任を免除する特約は無効(ただし、損害賠償以外の方法で一定の補償規定があるのであれば有効)。一部を免除する特約は有効。