事業者の免除特約のサンプル例文
 
 債務履行責任の一部免除の規定
 
② 不法行為責任の一部免除の規定
 
③ 担保責任の免除の規定
 
④ 高額の違約金を定める契約は有効か?
 
 
   ① 債務不履行責任の一部免除の規定
 
第〇〇条 事業者が民法第415条の規定に基づいて損害賠償の責任を負担する場合、30万円を負担額の上限とする。ただし、当該事業者に故意又は重過失がある場合には生じた損害の全部について賠償する責任を負う。
 
ポイント
 
* 事業者に故意・重過失がある場合には、一部免除も認められません。
 
* 債務不履行責任の全部を免除する規定は無効になります。
 
 
    ② 不法行為責任の一部免除の規定
 
第〇〇条 事業者が民法第3編第5章の規定により不法行為に基づく損害賠償の責任を負担する場合、20万円を負担額の上限とする。ただし、当該事業者に故意又は重過失がある場合には生じた損害の全部について賠償する責任を負う。
 
ポイント
 
* 事業者に故意・重過失がある場合には、一部免除も認められません。
 
* 不法行為責任の全部を免責する特約は無効です。
 
 
    ③ 担保責任の免除の規定

第〇〇条 購入した商品に隠れたる瑕疵が発見された場合、当社は返金などの賠償責任は一切負わない。ただし、目的物が1ヶ月以内に事業者の責に帰する事由で故障した場合、同種・同等の新品と交換する。
 
ポイント
 
* 瑕疵担保責任の全部を免除する特約は無効となります。しかし、損害賠償以外の方法で一定の責任を負う旨の規定が置かれた場合や欠陥品を欠陥のないものと交換する場合、欠陥を修理・補修する場合には、消費者に一方的に不利益になるわけではないので、無効とはなりません。
 
* 債務不履行や不法行為とは異なり、瑕疵担保責任の一部を免責する特約は問題なく認められます。つまり、免責された部分については、消費者は事業者に対して責任を追及することができなくなります。
 
 
   ④ 高額の違約金を定める特約は有効か?

第〇〇条 甲の都合により予約の取消し又は予約内容の大幅な変更をする場合、1か月前のキャンセルは利用料の5%、2週間前の場合は10%、3日前の場合は20%、前日の場合は50%のキャンセル料を支払うこととする。
 
ポイント
 
* 消費者契約法9条では、消費者の一定の利益を保護することを目的として、消費者契約の解除に伴う損害賠償の額や違約金を定めた場合、事業者に生ずべき平均的な損害額を超える賠償額を予定したとしても、その超える部分を無効としています。よって、予定された損害賠償の額又は違約金の額が、社会的に見てある程度妥当性のある内容であれば、その条項は有効となります。